書きもの日和。

ぴよこむしの徒然雑記です ひよこむしだったこともあります

楽しむはずが苦行に…人がゲームに溺れてしまう理屈

 スマホタブレットが生活に定着して、ゲームもすっかりモバイル化しましたね。動かせるという意味では、ゲームボーイやらそれ以前のゲームウォッチやらだって持ち運べましたから、正確ではないかもしれませんが。ネットでいつでも繋がっているゲーム空間を持ち歩けるようになりましたね。の意です。

 おうちとかでゲーム機で遊ぶよ、って人ももちろんいますけれど、要するにゲームとの接し方に気軽な選択肢が増えたって感じでしょうか。

 

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気づいたらなんとなく触ってたり

 

 アプリゲームとかオンラインゲームをしていると、よくよく開催されるのが「イベント」と呼ばれるもの。

 期間限定でちょっとしたミッションが用意されたり、ゲームリリースの周年記念や登場キャラクターのお誕生日に紐づけたお祝い事があったり、クリスマスやバレンタインなどの行事時期ならではの企画が発信されたり。

 ゲームによって趣旨はさまざまですが、とにかくユーザーを飽きさせないよう、ゲームを開けてもらえるよう工夫するのがその運営元のお仕事なんですよね。収益をあげるためには集客をしなければいけませんから。

 

 で、よくよく出くわすのが、時限でユーザー同士を競わせ、順位付けするイベント。到達順位によって得られる報酬が変わり、有益なアイテムや魅力的な称号などのために「頑張る」必要のあるものです。

 すなわち、そのコンテンツが好きであればあるほど、また、「推し*1」への愛が深ければ深いほど、どうにかしてあの順位まではたどりつかねばならぬ、という使命感や目標に駆られてしまうのです。結果を出すためにはたくさんプレイしなければいけません。操作精度(パズルっぽいものなら連鎖数の多さ、バトルっぽいものなら勝利数の多さ、等)でアドバンテージは増しますが、自身の結果の最大値を出すならとにかく時間をいかにして捻出するか、ということになってくるのです。

 

 そしてだいたい、そうしたイベントには期間限定でガチャ/ガシャがくっついてきます。いわゆるガチャガチャ、ガシャポンなどと呼ばれるものがありますよね。かつて駄菓子屋さんの店先などで見かけたそれは最近、空港や観光地などにも設置され、いろいろな人が楽しめるものになっています。それと同じ機能を持ったものがゲーム内にも設置されているんです。 

 ゲームでは、イベントが有利に進められるキャラクターやアイテムなどを引くことができますが、現実の躯体同様必ずしも欲しい対象が手に入るものではありません。よいものほど排出確率が低く、たくさんやらないとゲットするのが難しくなっていたりします。

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運試しでありちょっとした肝試しでもある

 

 短い尺で引ければ勝利、叶わなければ爆死。頑張る人はここも頑張ります。というか、イベントの結果よりガチャ自体の結果を重んじる向きもありますね。対イベ、ということに限らず、シンプルに、強い、かわいい、かっこいい、といった理由で「欲しい」衝動に囚われたりもするものです。

 

 そこでガチャを引くための材料となるのが俗に言う「石」。ゲームにおける特別なアイテムになります。石は基本的にゲーム内での自身の成果で得られますが、足りなければリアルのお金で購入し、増やすことができます。そこはほら、ネット環境下ですからさくっとクレジット決済できてしまうんですね。これが運営氏の最もオーソドックスな収益達成手段で、このようにガチャを引くため等にお金を使う行為を「課金」と呼びます(他、特別なシナリオを獲得するため、など課金要素はゲームにより多岐に渡ります。石に当たるアイテムの名称もまたゲームによりけりですが、「お金をかける」という用途は共通しているわけです)。

 大切なご家族が知らないうちにゲーム課金でお金を使いこんでしまうようなケースも発生していますので、楽しく遊ぶためのツールだったはずのゲームもまた、付き合っていく上でより注意の必要なものになってきていると思います。ちなみに、前述のようにゲームのために自分の時間を費やすことは「時間課金」と呼ばれますね。

 

 はじめの方でイベントは期間限定と記しました。そう、そんな頑張りタイムも、該当イベントが終わればおしまいです。お疲れさまでした! とこれでひと段落できるのかと思いきや、なかなかそうは問屋が卸しません。なぜなら、イベントは往年のマシンガン打線のようにポコポコ続くからです。クリスマスイベントが終わったら年越しイベントが控えている、ざっくり言えばそういう感じですね。ゲームの運営氏はそのように、なるべくユーザーに離脱されないよう一手も二手も先を読んでいるのです。

 

 順位など、なまじイベントで成果を上げてしまうと、それはそれで苦しくもなります。また勝ちたい、このランク付けを維持したい、それ以上落ちるのは嫌だ、といったような気持ちが生まれるからです。ものによりますが、他のユーザーと友達関係(フレンド、等の呼び方で個別に特別なつながりを持つ状態)になれる機能が備わっているゲームだと、そちらの動向によけい気持ちが左右されることもありますよ。あのフレさんは今回のピックアップガチャ引けたんだなー自分も欲しいなー、とか、こっちのフレさんは今回〇位以内に入ったのかー次イベでは負けたくないなー、とか。

 

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そしてスパイラルに突入

 

 そんなふうにして、いつの間にかゲームばかりに気を取られている状態ができあがります。イベントで結果を出すことが目的になると、だから遊び方も変わってきます。効率よく結果を出すための方法論は、必ずしも自分が楽しくプレイできる進め方と合致しないからです。気持ちと行動の乖離は精神衛生上よろしくありません。それでも「やーめた」とはなりにくくするために、運営氏はシステムサービスの改変を行い、アプリケーションのアップデートを繰り返すのです。

 

 更に。

 気に入っているゲームが一つだけとは限りませんよね。嗜んでいるゲームが複数あれば、それぞれのコンテンツでイベントたちを回していかないといけません。とりわけゲームをポジティブに楽しんでいる人は、端末を複数所有して人一倍ゲームに時間を費やしたりもします。俯瞰で見ればだいぶゲームに浸食された格好なのですが、それでもプレイしてしまうのがゲームのゲームたるゆえんなのです。

 

  といった具合に、ゲームユーザーは時に、苦行と感じながらゲームユーザーを続けています。みなさま、どうかご無理なさらず。

 

 最後に補足。

 ユーザー目線で当記事を書いたため、なんとなく「ゲームの運営」氏の存在が「善良なユーザーを良からぬ方向へいざなうもの」みたいに感じられてしまうかもしれません。が、そのような執筆意図はないですよ。運営氏はお仕事をしているだけなのです。基本的に無料で楽しめるものをくれるかたがたで、より楽しむためのサービスを提供することで食っているかたがたです。ですから綱引きは続きますし、お互いの利害は完全一致できませんけれど、立場を理解し合い、よい関係性を築けたらいいですよね。運営諸氏が舵取りの腕を上げて、長生きするコンテンツが増えていったらいいな、と私は思います。

 

*1:該当カテゴリ内において特に気に入っている対象を端的に指す言葉