よく覚えてないのによく覚えてるドラマ
テレビの再放送が増えてきました。
新型コロナウィルスの影響で番組収録自体が極めて困難になってきていることの顕れですね。
あの番組また放送してくれないかな、そんなふうに何かを期待しているかたは私以外にもいらっしゃるんじゃないでしょうか。
さて、そんなさなかにあってふと思い出した過去の番組があります。
「さよなら五つのカプチーノ」というドラマです。
かつてNHKで放送された作品です。
事情も背景もバラバラの5人の男女が夜、とあるファミレスで居合わせ、ひょんなことから大金の強奪計画を立て始める。といったようなお話です。
と、自分で今記してみて驚きました。このように書いてしまうと、あたかも伊坂幸太郎あたりが見事にさばきそうな、ちょっとした痛快コメディみたいに見えてしまうからです。この作品の佇まいはそういうハチャメチャな感じではありません。ではありません、と断言してしまうと語弊があるかもしれないのですが、なんというかもう少し動より静を感じます。
不思議なことに、私はこの作品のキャストをほとんど覚えていませんでした。上記アーカイブスを見て、こんなだったんだっけと感じたくらいです。
また、実際には1回完結しているようですが、私は勝手に前後編とか、2、3回シリーズだったような気がしていました。たいへん失礼な話かもしれませんが、事実です。
それなのに。
私は「さよなら五つのカプチーノ」というタイトルをはっきりと覚えていました。
そしてまた、その映像作品が伴っていた空気感を思い出せるのです。
おそらく当時の私が、物語そのものの気配によっぽど気を取られていたのだと思います。だから決して演者の皆様を軽んじているのではありません。むしろ演者の皆様が作品にドンピシャだったからこそ、また現場を支える皆様が絶妙だったからこそ、それだけ物語そのものにのめり込むことができたんじゃないかと思うのです。
そして大杉漣さん。他たくさんの役者さんとスタッフのみなさん。
心からの敬意を表します。
白状しますと。
私は再放送を望む前にまず、この作品の原作本が読みたくなりました。じっくり物語をたどってみたくなったのです。それで調べてみて、またもや驚きました。
この作品には原作本が存在しないようなのです。
すなわち、テレビオリジナル作品ということ。
なんだか勝手に原作の小説があるような気がしていました。
その事実にたどり着いただけでも収穫です。…収穫ですとも。
そして思考はループし…
よく覚えていないくせに、よく覚えている。
もう一度見たいな。と思ったのはだからです。
淡い期待をしながら、私はその日が来るのを待っています。
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